CancerXでは2つの視点で食と栄養を考えている。1つは生きるための食、もう1つは楽しむための食である。前者は生きるための必要な栄養を摂取する考え方であり、後者は品質や栄養成分ではなく、誰と食べるかやどこで食べるか、何を食べるかという考え方である。
【WCW2021の振り返り】
▼WCW2021のセッションでは2つのことを”問い”として立てた。
1.がんを予防できる、がんに効くなどの情報が溢れているが、実際にそのような食事はあるのか。
2.治療中の食と栄養をどう考えるか。
1.では、がんと食と栄養に関して因果関係を証明することは難しいという結論に至った。2.では味覚がわからなくなり料理をすることが嫌になったり、副作用で食べられなくなるという身体的な課題に加え、作ってくれる人に負担をかけたくないことや、家族に食べるという姿を見せて安心させたいなどの心理的な課題があるという話題が出た。また、がん誘発性体重減少という形で体重が減り、低栄養状態になってしまうという課題も明らかになった。
▼「自分のおいしい」を意識しよう
自分が食べたいと思う物が身体が欲しているものであり、専門家や家族などにあれやこれやと提案される食も大事だが「自分自身のおいしい」を知っておくことも大切なことである。また、味が分からない時の工夫では、家族との話し合いも大切で、おいしいは1人では完結しないという話題にもなった。
【WCW2022のディスカッションポイント】
・ WCW2021で、がんと食と栄養に関しての因果関係を証明することが難しいという結論になり、参加者の関心は食の工夫などの「楽しむための食」にあったように感じた。 WCW2022では、改めてがんと食と栄養の因果関係に触れつつ、「生きるための食」や「楽しむための食」とは何だろうかを、登壇者や参加者同士で対話できる場にし、皆さんが考えるがんと食と栄養の境界線上にある価値を受け容れ合えるセッションにしたい。
・人と人をつなげるのが食。
キーワード:医療の不確実性、生きるための食、楽しむための食、食の工夫